しばらく、この項目の更新がなかったのですが、もちろん練習は週2で継続中でした。その間も、毎回毎回、ああでもない、こうでもないと考えながら、練習をしていました。ネタとしては、もちろん、スーパーチョップスの教科書といえるトランペットシークレットという本と、その後に発売されたDVDの中身です。
この本とDVDは、書籍がもう絶版となっているところを見ると、DVDが今は正当な教科書ということになるのでしょうが、明快さという点では書籍のほうが優っていると思います。といっても、日本ではほとんど流通していないし、英語版しかないので、皆さんに伝わることも少ないと思います。スーパーチョップスという言葉だけが、独り歩きしているというのが実情だと思います。まあ、そんなことをいくら書いても、伝わらないので、この奏法で疑問に思った点などを今後もご紹介したいと思います。
書籍の方ではスーパーチョップスの習得を5段階に分けています。大雑把に言うと、1から4段階を習得編とし、5段階目をプロ級の段階という位置づけにしています。4段階を終了しないうちに、5段階目を試してはいけないとも書いてあります。それぞれの段階には口腔内のイラストがついていて、舌の位置などを説明しています。ところが、この図がDVDで紹介されている口腔内の図とちょっと違うのです。
ただ、そんな相違点がいくつかある中で、タンギングをするための方法については、一致しています。その説明によると、タンギングのとき、舌は下唇の裏側の上側に軽くつけて、舌の先端から実に0.5インチ(1.27センチ)内側で、上歯の歯さきに当たるようになっているというのです。
これがなかなか、私には信じられなくて、出来なくて、困ったものでした。かなり、舌に力を入れないとそんなに舌を前方に押し出すことはできない。もしかしたら、これは悪い冗談じゃないのだろうかとも思いました。私の舌が短すぎるのかもしれないとも思いました。そして、どんどん時は過ぎていったわけです。
皆さんもこんな経験はないでしょうか。突然、霧が晴れたようにうまくいくという瞬間です。ただ、それが次の練習の機会には、まるで夢のように過ぎ去ってゆき、どうやっていたのかわからないということです。こんなことがあったので、長い間、練習日誌をつけていました。そんな、うまくいった時の吹き方の記憶というのが、やがてよみがえって、すべてが結びついてくるということがあると信じて…・。
それが、つい最近見つかりました(ほんとかどうかは保証しません)。何度か、顎を少し引いて吹き、でもラッパ本体は下げないような構えで吹いたときに調子が良かったということです。直接ではなく、ペダルトーンを練習した後に、自然とそうなったということもあったと思います。つまり、今までの構えよりも相対的に顎を引いて吹くと、私にとっては調子がいいということです。(この記事の顎とは上あご・下あご全体の顎の位置という意味です。それが上向きだということで、あたかも酸欠の金魚のような格好の構えだということです。もちろん、そんな極端なことはないです。)
そして、意識してこの構えをやったところ、今まで舌と上の歯との接点がスーパーチョップスで言われているものに近くなっているのです。試しに、今までの構えと比較したところ、舌は今までより顎を引くことによって、無理なく前方に押し出され、アーチを作ることができます。
ラッパ本体を少し上にするというのは、下唇が直接マウスピースのリムに固定されることを避けるためです。スーパーチョップスの理論では、上唇も下唇も歯とマウスピースの直接の圧力で振動を殺してはならないという考え方があるからです。音のコントロールという意味では、下唇の役割が大きいと思いますので、こうしています。
世の中には、いろいろの方法があり、自分では気が付かないうちに、必要以上に顎を出して練習していたのかもしれません。野球の話で、何ですが、巨人の坂本選手の話が真偽のほどは分かりませんが、参考になるのかもしれないと思っています。それは、西武の秋山選手との交流の中で、坂本選手が、そのアッパースイングの有効性を聞いて、今期のよい成績のヒントを得たということです。
まあ、それは、長いプロ野球の理論の中では、ダウンスイングが全盛だったために、意外な理論だったのかもしれません。当たり前にやっていたことが、実は全然、間違っていたということもあるのかもしれません。
話は脱線しましたが、そんなこんなで、改めて、プロのプレヤーの演奏の構えを見てみると、今まで、そっくり返って顎を出して吹いていると思った人も、実は顎は出していなかったということが改めて分かってきました。また、舌のセッティング(あくまでスーパーチョップスの場合)についても、頭の軸が地面に対して、垂直ぐらいには維持しておかないと、うまくいかないということが分かりました。