【奏法さすらい記】トランペットのペダルトーンの練習ポイント

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このブログの奏法ということで、いつも言及しているスーパーチョップスですが、何度も読み返していますが、何せ、全文英語のためもあってか、少々ニュアンスの部分で、違った理解をしていないだろうかと思うときがあります。そんな中で、なぜこのことを取り上げなかったのかということがありました。

何度かご説明したように、スーパーチョップスにはテキスト版とDVD版があり、前者はすでに廃盤となっており、DVDのほうが新しいバージョンとなっています。テキスト版ではあまり深く説明されていなくて、DVD版では重点を置かれているものがあります。それは、ペダルトーンのことについてです。

DVD版ではペダルトーンの練習について、動画でも付録テキストでも強調されています。一般論でも、ペダルトーンを練習することは低音域だけでなく、高音域の練習になるということは聞いたことがあると思いますし、割と知られていることと思います。それはそうなのですが、練習方法がわかりずらいということがあり、また、そんなものは何の効果もないという人もいるもので、私の中で自然と無視していたのかもしれません。

再度、付録テキストを読み返すと、テキスト版や動画の中であれこれ紹介されているセッティングの前段階の大変重要なポイントを育むための練習方法として紹介されています。そして、注意点として、ペダルの練習の動画やイラストを慎重に何度も見返し、間違った理解をしないようにとされています。つまりは、結構言葉だけではなかなか伝わらないということです。習得には、練習あるのみで、ウォーミングアップでも、また練習の合間にも、そして、クールダウンとしても行うように、とあります。

その方法は、5線のすぐ下のド(B♭)の2オクターブ下の音から練習するように、となっています。その音をダブルペダルC(B♭のド)として、その上のオクターブのCでは練習しないということになっています。一つには、その音が実音とならない、つまりは非常に音になりにくい、吹きにくい音なので、オクターブ下げたCから始めなさいということです。そして、その練習動画はYouTubeで公開されています。

Master Superchops Jerome Callet Disc 1
この練習で得られる効果は、左右の唇の端を緩めて演奏する方法を習得することと、下唇をすぼめる方法を体に覚えさせることだということです。こうすることによって、口の端で下唇が上唇の若干前に来るようにできるということです。そうすると、上唇の支えができるのだということです。ここら辺の表現が難しいのですが、あとはビデオでは舌を下唇にあてて、補助するようにということを言っているように聞こえます。全く英語の聞き取りができないので、気のせいかもしれませんので、あまり信用できませんが…。

もうひとつ、重要なことは、マウスピースのセッティングのことで、動画のごとく、上唇のマウスピースにあてる比重を7/8ほどにして、結構強めに吹くということです。その時に、下唇を上唇に寄せる感じにし、マウスピースに対して、顎を引くようにして角度をつける(ラッパも同時に上側にあげる)ようにするということです。上唇はリラックスしながら、下唇のほうに寄せる感じです。口角は緩めることがポイントです。

以前、私が子供のころに、トロンボーンの教本でペダルの練習をするときに参考にした内容をご紹介したことがありました。それは、マウスピースの上のほうのリムに上唇を押し当てて、トロンボーン本体を上側にあげるという方法でした。結論からすると同じ格好になるのですが、マウスピースにかかる上唇の比重までは、書かれていませんでした。これは、もしかしたら、トランペット特有なものなのかもしれませんが、たしかに、大きな音で、ペダルを吹くためには、トロンボーンだって、上唇の比重を多くとろうと自然となろうかと思います。

ただ、唇の口角の位置について、考えることがなかったので、この点が今回の重要なセッティングのヒントになりそうだと思っています。つまり、上唇の端を下唇の端が包み込む感じということです。もちろんそんなに極端にということではないと思います。その加減を練習で身につけろということです。そして、ここで紹介されている内容は、スーパーチョップスでのペダルの練習方法のすべてではないですが、重要な内容の一部といえると思います。

さらに、このことで思い出すのが、トランペットを吹く時に、熱いご飯をフーとさますようにするといわれることです。その唇をやってみると、必然的に上記の口角のセッティングになるように思われます。

また、ある教則本にある音出しの前段階のトレーニングである方法もかなり似たようなセッティングを訓練することができます。トランペットからマウスピースを外して、マウスパイプに唇をつけて、音を出すという方法です。こうすることによって、下唇をちゃんとマウスパイプにくっつけて、ふくということで、同じような効果があると思います。(こちらのほうはそのほかに、唇周りの筋肉の使い方を覚えさせるという訓練の理由があるものと思われます。)

そして、これも以前、ご紹介したものですが、チンパンジーの唇の絵がかかれたあの奏法も、やはり結論からすると同じ内容になるのではないかと思われます。

この絵を見るときにいつも思い出すのが、これも長い間言われている、Mを発音するときの口の形をするのが、トランペットを吹く時の基本だとする考え方です。しかし、上記のチンパンジーはMとは言っていないと思います。そして、わたしはMの形を意識して吹いていい結果を得たことがありません。人によっては、これでバンバン吹ける人もいるかもしれませんが、どうもうまくいかなかった過去があります。一時はよくとも継続的には、マイナスのほうが多くなる結果でした。それは、もしかして、唇の先端だけにMの形を意識していたからではないかと思えてきます。つまり、Mというときに、口角を意識したほうがいいのではないかと思う次第です。

さらに追加しますと、だいぶ前にあげた鉛筆を加える方法も、唇周りの筋肉バランスをうまく形作るということもありましょうが、口角の位置という点でも、矯正することができる方法ではないかと考えられます。鉛筆をくわえるときに、鉛筆をやや上方に維持するという、この行為を行うときの口角のセッティングはまさに上記のセッティングと同じではないかということです。

ただし、スーパーチョップスのDVD版の付録に記載されている内容によりますと、鉛筆の方法は邪道として扱われています。口角を緩めることによって、このセッティングは容易になり、舌で下唇を前方にやや押すような感じで維持できるものだということです。
ということで、今は鉛筆の方法はやっていません。自分の中で、理屈がつながってきたからです。また、スーパーチョップスに戻り、スピットバズを毎日やることにしています。

ということで、私は、この1か月余り、この練習を続けています。ただし、もちろん、週2回の練習ということで、のろい亀の歩みかもしれません。

≪ 追記 ≫
この記事で書かれていることに不足するところがあります。どうも、口角ばかりに焦点を当てたために、自分でもそうですが、舌の位置を前方に置くという意識が薄れてしまいます。上記の動画の最初に説明されていますが、舌の位置は通常のトランペット奏者が行うよりも前方に大きくひろく置かれるわけです。
そこで、また思い出されるのが、以前ご紹介したスーパーチョップスの秘密の図です。このセッティングを吹き初めにすることにより、緩めた口角と前方に出た舌の位置を維持できるのではないかということです。最初この図を見たときに、かなり違和感があったのですが、口角を横に引っ張らない自然なセッティングにすることで、この上唇を舌で覆うようなかたちが生きるのではないかということです。

今のところ、この訓練をする意味がある程度理屈としてつながってきましたので、この練習をしばらくすることにします。こうご期待。

《もう一つおまけの追記》
 上記の追記を書いたときから、もう半年以上たちました。この期間でも試行錯誤を繰り返し、その結果たどり着いた内容をご紹介します。それはペダルトーン時においても、舌の先端を下唇の裏の上の方につけて、舌の上側《表面側)のところを上唇の先端の裏側に近接させて、吹くということです。この方法をうまく機能するためには、息を吹きかける前に上下の唇の裏側に舌をくっつけて、息を解放するようにアタックする癖をつけることが大事なように思います。実際に、ジェローム・カレのDVDの中の付録のPDFの中にある質疑応答集にそのように書いてあります。というか、書いてありました。私が失念していただけ。

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