楽譜のご紹介
1957年昭和32年のリリースです。『東京だよ、おっかさん』というつかみの言葉が印象的です。私の母が子供の時に、自分の親を「おとっつあん、おっかさん」といっていたのですが、同級生に対して恥ずかしかったということをよく言っていました。かなりの高齢出産で生まれてきた母にとっては、昭和10年代でもちょっと、その呼び方には抵抗があったようです。しかも、結構田舎でもそうでした。したがって、昭和30年代で、はたして『おっとっつあん、おっかさん』という人がどれぐらいいたのか、はなはだ疑問であります。
一方で、当時、テレビでよく見たクレージーキャッツのコントには、よく出てくる言葉でした(貧しくて、自宅の部屋の中で、薄っぺらい布団の中に伏せている病気の父親に、『おっとっつあん、おかゆだよ。』といって始まるコントでした)。真実はどうもはっきりしませんが、わざと時代錯誤的な設定で笑いを取るコントでしたので、あんまり当時では言われない言葉だった気がします。
時代は集団就職が盛んにおこなわれた時代でもあり、そんな背景から、こんな曲が生まれたのかもしれません。それで思い出すのが、昭和40年代後半にある新宿の結構大きな大衆食堂にアルバイトに行っていたときのことです。そこには、中卒で集団就職できた10代の高校生ぐらいの年齢の子が結構働いていたことでした。当時(1970年代の前半ぐらい)の印象でも、いまだにあるんだ、集団就職が、と思ったぐらいです。
しかし、よく考えてみると、北国の私が通っていた中学校でも、3分の1ぐらいが進学せずに就職していって、軽いショックを受けたことを思い出します。特に普通に進学するんだろうと思っていた、それほど勉強ができないというわけでもない同級生の女の子が、高校へ行かずに働くというのが、とても違和感があったことを覚えています。そんな時代が1960年代の後半のことでした。
それが、70年代ぐらいからかなり変化していきました。ですから、この歌がいかに時代の流れが速かったかということが逆にわかるということも言えると思います。この曲がはやったころですと、(都市部は別にして)自動車なんかを持っているうちはなかったわけですから、地方の山間部に住んでおられた方で、それほど若くなければ、めったに都会などには出られないということもあったと思います。さらに一昔前ならば、一生その山間部で暮らしていた女性もいたはずです。そこんところを考えると、この曲の劇的さがけっこうささるのではないでせうか。なんてことはいいとして楽譜をちらっとどうぞ。
楽譜はトランペット、トロンボーン、アルトサックス、フルートの順に並んでいます。楽譜をクリックすると販売サイトに飛びます。
楽譜販売のご案内
こちらの楽譜は楽譜販売専門サイトPiascoreのこちらで販売中です。この曲のアルトサックス、フルート、トロンボーンの楽譜も販売しています。