今年の奏法上のアプローチの総括をしてみたいと思います。まず、週2回から多くても3回の練習の中で、上達するためにはどうすればいいのかということをかねてから考え、いろいろな方法を試してきました。その中で、何度かチャレンジするも、頭打ちになるものがありました。
それは、クラークの半音階の練習です。こちらも過去の記事の中で説明していますが、これが最後までできないと、いっぱしのトランペット吹きとは言えないのではないかと思います。少なくとも、個人的には。とすると、これは必ずできるようにしようという風に考えて、続けていたのですが、B♭管の上のEから始まる、つまり高い方のミから始まる半音階から上の音が最後まで出なくなっていたということがありました。ちょっと若い時には、体力で無理やり出すことができたのですが、その後、体力も減退し、さらには、差し歯を入れ替えたら、吹けなくなったということがあります。はたして、差し歯のせいなのかどうかはわからないまでも、吹けないことには間違いないわけです。
そこで、こう思いました。これは、練習量が少ないからではないか。しかし、ここで、練習量を増やしては、私の目的とするものと違ってくるわけです。確かにトランペットを吹くことは魅力的で、強く私の心をひきつけますが、しかし、ほかにやりたいことや、すべきことがいっぱいあるのも現実です。その中で、このトランペットという趣味を最大限の成果を上げて満足してやっていくためには、単に時間を多くとることで解決してはいけないのではないかと思ったわけです。
そして、毎日やっている人と、週2,3回の練習で済ましている人の差はなんであるか、ということを考えた時、スポーツにおける基礎体力をつけるような練習が必要なのではないかと思ったわけです。この辺は、何度も同じことを書いていて申し訳ないのですが、総括ということに免じて許していただきたい。
そこで、見つけたのが、この鉛筆の方法です。鉛筆の方法については、いまだに最終段階まで来てはいても、10週間のプログラムを数週間過ぎても終わっていません。しかし、私はそんなにこれについては問題ではないと思っています。なぜなら、毎日練習していないからです。そして、結論から言うと、やはりこの練習は絶大な効果がありました。
単にスポーツにおける筋力トレーニングのつもりでやっていたのですが、そうではない部分も大きいことが最近になってわかってきたからだと思っています。すなわち、アパチャーを一定に保っての緊張と弛緩の感覚をつかむことができるということです。鉛筆の太さがそれに最適な大きさなのかどうかはわかりませんが、少なくとも鉛筆の太さ分のアパチャーを残して、つまり唇の開きのスペースを残して、緊張と弛緩をするような形をとるということです。さらに上唇と下唇の力の関係も鉛筆の保持時間を長くするごとに変化していくことがわかりました。
今のところ、鉛筆以外の方法、市販されている器具などはやったことがないので比較できませんが、古典的なこの方法は私が中学生の時に噂を聞いた50年以上前の時点から、いまだにあるところを見ると、まずはいったん信用してもいい方法だと思い、お勧めします。
ただ、方法論をきちんと勉強してからやった方がいいです。前々回にご案内した教科書も参考になるでしょうし、英語が聞き取れる方は、YouTubeでも方法を説いているものがあります。私が経験した中では、やりすぎると、唇の柔軟性が損なわれ、うまく響かなくなるようなことが必ずあります。これは、実際に私が紹介した本のなかにもしつこく書かれていたのですが、無視してやってみたところ案の定、そのようなことになりました。
あとは、そういえばスーパーチョップスはどこに行ったんだということですが、今はしばらく、この鉛筆の方法論をしっかり身に着けてから、再度ご報告したいと思います。鉛筆の方法は、まだ少し先があります。この方法を完全にマスターしたそのあとは、1週間に一回、ある鉛筆を使ったトレーニングの仕方があるのですが、それをすれば、毎日鉛筆をくわえる練習はしなくてよいということです。しかし、それを真に受けるわけにはいかない。なぜならば、毎日練習している人とは違うから…。ということで、どのように、この方法を自分流にアレンジできるかが次の段階です。
今現在、鉛筆の方法では、時間のことしか著作権の関係で書けませんが、最終段階の4分間鉛筆を保持することができる日もあれば、出来ない日もある。然し、おおむね3分以上はいつでもできるようになりました。これが、いつでも4分以上できるようになることで、このプログラムをいったん終了させ、自分流の練習方法を作っていきたいと思っています。そして、それができた後に、スーパーチョップスとの整合性を検討していきたいと思っています。
今だから言いますが、以前の私は、スーパーチョップスを実施する十分な体力がなかったということも言えるかもしれません。最近のはやりの体幹を鍛えて競技に向かうような感じでしょうか。いずれにしても、今年は結構な成果を得ることができました。来年が楽しみです。