PR

【奏法さすらい記】トランペットと口笛 2 人によっては口笛の方法では足りない場合もあるのではないか。

奏法さすらい記

前回の口笛で音程を変える方法とトランペットで音程を変えていくことの共通点ということを書いてから相当時間がたってしまいました。要約すると、口笛で低音から高音に音を変える方法とは次のような内容でした。

舌を下の前歯の裏につける。→高い音の場合は、その舌の先を少しずつ上に持っていく。→最高音に近い部分では、下の歯というよりは、下唇の裏につけるような感じになるということでした。要は、そうすることによって、口腔内の容積を小さくして、音程が変わるという仕組みなわけです。さらに言うと、それだけ狭い領域を息が通ることによってより狭い振動体(唇,ほとんど無意識に)を反応させるということだろうと思うのです。

そもそもは、唇が振動して音が出るということが原則です。では音が出ないというのはどういうことが原因なのか。唇が振動を止めるということです。振動を止める原因は、唇どうしが近接しすぎ、詰まる状態であること。また、唇がカップに入り込んで、カップの内側に接触して、振動を止めてしまうような場合です。また、ときには、アパチャーが開きすぎて音が出ないということもあると思います。ただ中間的な状況もあります。音はかすかに出ているが、音楽の音ではないという場合です。むしろこの方が多いのだと思います。唇をマウスピースのリムに押し付けすぎて、自由な振動ができにくくなっている。上唇と下唇の間のスイートスポットでないところで振動させようとしている。ここで、面白い動画がありますので、紹介します。

バ ズイングについて、参考になると思います。この効能は多分、振動する唇のスイートスポットが分かるということだと思います。この1か月ほど、楽器の練習のない日には、毎日のようにバズイングで、音階練習をしています。人によっては、そんなものは不要だとか害があるとかいう人もいるぐらいですが、ともかくやってみました。この動画はまず息があって、唇のセッティング、そしてバズの順番になっています。多分、正論だと思います。

ただ、誤解を生みやすいのが、息のあり方というか、使い方なんだと思います。力いっぱい吹き込めばいいのかというと、それは、唇のセッティングが許す範囲でという条件付きになるはずです。せっかく、バズイングで音の出るスイートスポットを練習したところで、ぶち壊すような勢いで息を吹きかければ、それは、唇も必死にこらえようとして、力いっぱい頑張って、その結果として音がかすれたり、つぶれたり、音程が外れたりするということになるのだろうと思います。結果、持久力がなくなり、マウスピースに押し付けたりするようになるのだと思います。


つまり、振動の主となる上唇には骨格というものがありませんので、また、強い筋肉もありませんので、風(息)にたなびいてしまう。だから、それを避けようとして、上唇に力を入れてしまう。これが低音域ならば、上唇も肉厚の状態で振動させますので、そのブレを吸収できますが、高音域では振動する部分が相対的に小さく、薄くなるので、なかなか抵抗できずに、押し付けて、何とか回避しようとする癖がつくということです。

これを避ける方法として、上唇を上の歯の先より下にさげないという方法(以前、説明した『トランペットのテクニック』という本に出てきたイラスト参照)があるのだと思います。つまり、風(息)にあたる部分を最小限に抑えていこうという考え方です。ただ、それではどうしても振動する部分が小さくなり、音の芯を外す可能性もあるのではないかというのが、スーパーチョップスの考え方だろうと思います。

ではどうすればいいか。結論から言うと、下唇と上唇両方の振動が止まらず、且つ、息の勢いにも負けないという状況を作るには、舌全体で両唇のサポートが必要になるのだろうと思うのです。舌がベースになってサポートしながらの振動であれば、息の勢いで支えを失って、音が出にくくなるようなきっかけを作らずに済むと思うのです。ここで、イラストでご説明できればいいのですが、それは、著作権の問題がありますので、ちょっと無理です。かわりに一番今自分でも気に入っているやり方を説明します。

舌の力を抜きます。上下の歯の間から舌を出します。そこで、首を垂れて足元を見てください。舌は、上下の歯の間に垂らした状態にして感覚をつかみます。そのまま、下唇の裏の上の方に舌先をつけます。頭を上げてできるだけ、舌の状態を変えずにセットした状態がスーパーチョップスのセッティングに近い状態になります。アタックは舌先を下唇の裏の上の方につけた状態で、そのちょっと内側の舌の上面が上唇と下唇の間につく感じで出すことになります。アパチャーがつぶれないようにするためです。

ここで、注意しているのが、舌に力を入れないということです。舌に力を入れると、どうしても舌が後退し、舌が丸まっているからできる息の圧縮ができなくなるからです。今は、この下を向いてもう一度セッティングしなおすことで、この癖を直そうとしています。また、高音域になるにしたがって、舌先を伸ばす、あるいは下唇のほうに舌先を押し付ける感じで、結果的に口腔内を狭めることになるということで、いいようです。

従来、トランペットの音程の変化を口笛のようにという風に言われてきたのですが、私にはどうしてもうまくいきませんでした。口笛のように舌を口腔内で持ち上げることで、音程を変えるつもりでも、思うようにできず、結果的には、力いっぱい舌を上げても、高音が出ず、それを補うためにのどまで締め付けるという癖を付けけてしまいました。多分、この方法でうまくいく人もいるのだろうと想像します。しかし、私にはできず、舌をもっと前に置いたスーパーチョップスの方法を試すことにしました。

Advertisements

今のイメージでいうと、丸い水ようかんのような感じです。丸い水ようかんのゴムのカバーが唇で、丸いようかんが舌というイメージです。それが、この写真につながるのではないかと思います。

しばらく、この方法についてさらに検証を続けたいと思います。


追加訂正 舌に力を入れないということを言っていますが、それは、セッティングの時の話で、音程を変える段階では、舌が丸まった形を維持しつつ、下唇側に押しつけ気味にするというのがスーパーチョップスでいわれていることです。それなりに力を入れます。まったく力が入らないということではありません。ポイントは、舌のアーチ、丸まった状態を維持した状態であるということが必要なのだと思っています。

追加   これは直接画像を張ることができないので、ご紹介だけです。スーパーチョップスの基本的な口腔内のセッティングについて、画像が上がっています。こちらはスーパーチョップスのDVDの中に収録された図ですので、参考にしてください。基本的なセッティングはこんな風にするのだとカレ自身も言っています。見ていただければわかりますが、唇と歯のところのスペースは本当に狭くなっています。もちろんこれはセッティングの段階での図で、息を出すときにはそれなりにスペースは飽くものの、あくまでも舌を前方におき、この形を崩さないようにするという努力が必要になります。ただ、すぐにはできないはずです。
以下にリンクを張っていたのですが、削除されました。(2021/08/08)

スポンサーリンク

それから時がたって

更に半年後2022/04の気づきです。上記内容は、下にフォーカスした考え方ですが、それだけではないということを実感することがありました。この後の記事で、自然奏法というのをご紹介していますが、こちらの方法を1年ぐらいかけて続けてきて、わかったことがあります。それは、舌の使い方は上記のような流れでいいと思います。プラス、音の変化の基本的な考え方であるものを意識できると、かなりわかりやすいのではないかと思います。

こちらが参考になります。大変基本的な方法ですが、具体的に実行したことのなかった方法です。また、鉛筆を使った唇周りの筋肉の使い方を習得する方法よりも、こちらの方が薦めているマウスピースを使った方法のほうがより実践的で、簡単だと思います。私も1年近くやりましたが、成果が出ています。お勧めです。

 トランペットの奏法の理論というのは、いっぱいありますが、大体が西欧のものです。私は、もちろん戦後生まれですので、西欧礼賛の中で教育を受けてきたのですが、どうもそれが怪しく思うことが、振り返ってみると多いというのも今回思ったことです。

 昔、高校生の時に、心理学に興味を持ったのですが、当時は西欧の古典を読むということが必須とされていたので、私も読みました、『フロイト』を。しかし、まったく理解できなかった。そして、それは私に理解力がないからだと思っていました。しかし、男子高校生にとって、すべての心理的な要因は性欲にあるというのはなんかわかる気がしました。

 しかし、そんな中でもこれは違うのではと思っておりました。どうも、西欧社会のなかにオカルト的な論理の飛躍があって、それがちょくちょく現実と乖離することがあるのではないか。そう思いだしたのが、やはり、マルクスの共産主義の考え方です。ソ連の崩壊です。やっぱりおかしいものはおかしい。労働が搾取といえば搾取されるということはあるが、そうでない労働もあるわけで、労働者と資本家を無理やり対立関係にするというのも実情に合わないような気がしました。

 で、そんな中で、西欧を中心としたトランペットの奏法の中で、舌がすべての事を行い、それ以外を意識してはいけないとか、毎日、チェストアップして、ウォーキングをしなさいとか、ちょっと違うのではないかと思ってきたわけです。どうも背後にキリスト教的な一神教的なものを感じざるを得ません。

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました