楽譜のご紹介
この曲も出だしのところのトランペットソロがとても気持ちがいい曲です。どんよりとした空の下の北の冬の海の厳しいところが感じられるようで、とても好きです。
10年ぐらい前だったか、なかにし礼さんが書いたこの詞の原点となるような自伝的なドラマがありましたが、それから、さらに好きになった曲です。伝え聞いていたニシン漁のことについて、その番組の中で描かれていて、そんな風俗史的なものについて、もっと知りたいと思ったものです。やがて忘れられてしまうというところが、なおさら興味を引きます。
首都圏では、ほとんど口にしないニシンですが、なんだか食べたくなってきました。今は、思い出したように、首都圏のスーパーの店頭に並ぶぐらいですが、そんなニシンは脂も何もないような、まずいものしかありません。子供の頃に食べていた脂ののった生ニシンの塩焼きを食べたい。そんなことはいいとして、いつものように、楽譜をちょっとだけお見せします。
楽譜はトランペット、トロンボーン、アルトサックス、フルートの順に並んでいます。楽譜をクリックすると販売サイトに飛びます。
販売サイトのご案内
販売サイトはこちらです。Piascoreという楽譜専門販売サイトになります。楽譜の見本はトランペット用ですが、アルトサックス、フルート、トロンボーンの楽譜もございます。
演奏例
曲の由来など
『石狩挽歌』(いしかりばんか)は、作詞なかにし礼、作曲浜圭介の楽曲。1975年日本作詞大賞の作品賞を受賞。1975年6月25日に北原ミレイが発表したシングルが最もよく知られています。
石狩の海の鰊漁を舞台に、大きな夢を見て それをつかめないままに終わってしまう男、そんな男と人生をともにする女の気持ちが、鮮やかな情景とともにうたわれています。
テレビドラマ化もされ、私も見ましたが、なかなかのものでした。実話ですので、なおさら引き込まれるものがありました。そして、その中に流れている身内ならではの実兄への葛藤というか、決して消し去れないものを感じて、多くの人を引きつけたと思います。
15歳の歳の離れた兄は、戦争後にその人格まで変わって戦地より帰ってきます。その後は貧困にあえぐ一家のことも顧みず、一発当てようというばくち的なことをしていきます。そんな中で、ニシン漁で一儲けを画策して、見事に当てが外れ、一文なしどころか大きな借金をせ負います。結局、一家はチリじりになっていきます。そんな、幼少期の記憶と、その後作詞家としてデビューし、成功した後も、兄から金の無心をされたり、節目節目にしつこくまとわりつかれます。
そんなドラマだったように覚えています。そして、その中で、象徴的なシーンとして、ニシン漁の様子が映されていました。多分、なかにし礼さんの人生に深く刻み込まれた様子なのだろうと思います。そんな曲の冒頭の独特なファンファーレはなんともいいものです。