楽譜のご紹介
この曲のステンカ・ラージンは1600年代のロシアの民衆の英雄ということで、有名な人です。
実は、盗賊のボスであり、軍事力を背景に当時のロマノフ朝も、手を出せないくらいの勢力になったようです。ロマノフ朝ではその時には農奴制が確立されていて、過酷な徴税や徴兵から逃げ出したり、このような盗賊の仲間になっていったりということで、民衆の不満は鬱積していました。
結局は、このステンカ・ラージンは41歳ぐらいの時に、四つ裂きの刑で処刑されます。しかし、その後続いていった厳しい環境の歴史が、ステンカ・ラージンのような人物の出現を待望し、英雄視されたのだということです。もしかしたら、社会主義革命に利用されたのかも…。
歌詞の内容は、『ステンカ・ラージンはペルシャの美女と結婚して、いい気になっている。そのうち、我々のことなど忘れて、骨抜きになるだろう。そんな部下たちの声を聴いて、ステンカ・ラージンは、そんなことがあるものか。俺はいつもお前たちのためにいる。その証にこの美女をボルガの川に沈めよう。』といって、ペルシャ美女を川に捨てたということです。
犬、猫でも川に捨てるには相当躊躇されようものが、女性を捨てるという、ちょっと蛮行の極みと思います。ステンカ・ラージンは盗賊の棟梁であるとともに、今でいうと圧政下の反政府ゲリラのドンであったわけで、抑圧された民衆の強いリーダーという位置づけだということです。それにしても・・・。
時代としては、日本では江戸時代で、犬公方として知られている綱吉の一代前の4代将軍家綱の時代でした。江戸では明暦の大火があり、江戸の6割の家が消失したということですが、その後の時代です。
フランスではルイ14世の時代です。
そんなときに、ロシアではロマノフ王朝によって、圧政が続いていたということです。よく聞くロシアの農奴制ということですが、それほどひどいものだったのでしょう。それで、この盗賊の大将のステンカ・ラージンの反政府的な軍事活動が民衆の希望をつないだということらしいです。