流浪の民(るろうのたみ、ドイツ語:Zigeunerleben)は、ドイツ・ロマン派の作曲家ロベルト・シューマンによって作曲された1840年の歌曲。『3つの詩』作品29の第3曲。本来はピアノ伴奏(トライアングルとタンブリンをアドリブで加える)の四重唱曲ですが、合唱曲として演奏されることも多い。原題は「ロマの生活」もしくは「ロマの人生」の意味です。
詩はエマヌエル・ガイベルによって書かれたもので、ナイル川のほとりから、スペインを経て、ヨーロッパの町々をさすらうロマ(かつてはジプシーと呼ばれることが多かった。ドイツ語ではツィゴイナーとも)の生活の物悲しさを歌ったものです。「ジプシーがもともとエジプト民族である」という俗説がわからないと、歌詞の内容は理解が難しいといいます。
合唱をやっている人にとっては、有名な曲のようです。聞いたことがある程度の認識でしたので、そうなのか、と感心します。
合唱曲として有名なこの曲は、日本語の訳をつけたのは石倉小三郎で、この訳詩は原作を凌ぐ名訳と云われました。以下に引用します。内容はロマ(ジプシー)の夜の酒盛りの情景を描写した内容になっています。前提として、ロマがエジプトから流れてきたということを頭に入れないとわからない部分が出てきます。もちろん、それは俗説です。
合唱)ぶなの森の葉がくれに 宴ほがい賑わしや
松明あかく照らしつつ 木の葉しきて仮居(うつい)する
これぞ流浪のひとの群 眼(まなこ)ひかり髪きよら
ニイル(ナイル)の水に浸されて 煌煌(きららきらら)かがやけり
Bas 燃ゆる火を囲みつつ 強く猛き男(おのこ)息(やす)らう
Ten 焚火を囲みて 男息らう
Alt 赤き焔 めぐりめぐり
Sop 焚火 かこみつ
(合唱)女(おみな)たちて忙しく 酒をくみてさしめぐる
唄いさわぐそがなかに 南の邦恋うるあり
厄難(なやみ)はらう祈言(ねぎごと)を
語り告る嫗(おうな)あり
Sop 可愛(めぐし)少女(おとめ)舞い出でつ
Alt 松明あかく照り遍る
Ten 管絃のひびき賑わしく
Bas つれたちて舞い遊ぶ
Sop 既に唄い疲れてや
Ten 眠りを誘う夜の風
Sop なれし故郷を放たれて 夢に楽土求めたり
(合唱)なれし故郷を放たれて 夢に楽土求めたり
東(ひんがし)空の白みては 夜の姿かきうせぬ
ねぐらはなれ鳥鳴けば 何処往くか流浪の民
何処往くか流浪の民 何処行くか流浪の民
流浪の民
シューマンといえば、トロイメライが有名と思いますが、ピアノの練習のし過ぎで、手を痛めてピアノが弾けなくなったというからすごいですね。何事も、度を超すと害になるということなんでしょうか。