1851年に作曲された、最も有名な版。『パガニーニによる超絶技巧練習曲』を改訂した『パガニーニによる大練習曲』の第3曲にあたり、異名同音の嬰ト短調で書かれている。
≪リストのラ・カンパネッラは4曲ある≫
この曲はリストにより、ニコロ・パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番第3楽章のロンド『ラ・カンパネッラ』の主題を編曲して書かれました。名前の Campanella は、イタリア語で「鐘」という意味です(小さな鐘という意味で、大きな鐘の場合はラ・カンパーナというそうです)。
リストが「ラ・カンパネッラ」を扱った作品は年代順に4曲存在します。最終稿の『パガニーニによる大練習曲』第3番は、数多くあるリストの作品の中でも最も有名なものの一つであり、楽譜はそれに基づくものです。
ところで、カンパネラって、あの宮沢賢治の銀河鉄道の夜のカムパネルラ?と思いそうですが、今のところ、関係ないようです。あの物語を読むときに、最初の抵抗ともいうべき障壁はこのカムパネルラという、何人かわからない登場人物にありましたが、あれとは全然関係ありません。
≪相当難しいピアノ演奏の曲≫
また、この曲は、4つの「ラ・カンパネッラ」の中では最も常識的な難易度に落とされたもので、それと同時にリストは曲全体の構成を洗練し、ピアノの高音による鐘の音色を全面に押し出したものとなっています。
全体として、器用さ、大きい跳躍における正確さ、弱い指の機敏さを鍛える練習曲として使うことができるのだそうです。最大で15度の跳躍があり、この跳躍を16分音符で演奏した後に演奏者に手を移動する時間を与える休止がないまま2オクターブ上で同じ音符が演奏され足りしているのだそうです。ほかにも薬指と小指のトリルなどの難しい技巧を含んでいて、それをトロンボーンでやろうということ自体が無理のあることで、楽譜も相当はしょったものですが、でもその雰囲気は感じたいということで作りました。