楽譜のご紹介
「朧月夜」は、日本の唱歌で、作詞は高野辰之さん、作曲は岡野貞一さんによって1914年に初出されました。
春の夜に月がほのかに霞んでいる情景を描いています。菜の花畑に入り日が薄れ、見渡す山の端が霞に包まれている光景。春風がそよぎ、空を見上げると夕月がかかり、その香りも淡く漂っています
特に、長野県の北信地方で菜の花畑が広がる風景が、この歌のモチーフになったと言われています。高野辰之さんは、この美しい風景を詩に詠み、岡野貞一さんがそれに美しいメロディをつけたことで、私たちに素晴らしい歌が贈られました。
俳句や和歌でも「朧月夜」はよく使われます。例えば、大江千里の和歌「照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき」は、光源氏と運命的に出会った夜を歌っています。また、紫式部の「源氏物語」にも「朧月夜」という架空の登場人物が登場します。彼女は光源氏との出会いをきっかけに波乱万丈な人生を送った美しい女性でした。
など、とてもロマンティックな朧月夜ですが、実際は春先の黄砂と深いかかわりがあることなどが最近報道されて、ちょっとがっかりもしています。また、私は黄砂が届かないような田舎に住んでいたもので、全くこの春先に起こる現象というものや菜の花畑も見たことがなく、成人になって初めて見て、ちょっと驚いた記憶があります。