楽譜のご紹介
『浜辺の歌』は、詩人の林古渓が作詞し、成田為三が作曲した日本の唱歌です。
初出詩は大正2年(1913年)で、タイトルは『浜辺の歌』ではなく『はまべ』だったようです。
この詩には「作曲用試作」との一言が添えられており、当時山田耕筰に作曲を師事していた成田以外の学生も、この詩に作曲していた可能性があります。
作曲時期はおそらく大正4~5年頃とされており、大正7年には、当時人気の画家であった竹久夢二の装丁を施して『濱邊の歌』としてセノオ楽譜より出版されました。
どこの浜辺なのか不明ですが、林古渓は幼少期を神奈川県藤沢市の辻堂海岸で過ごしたため、この地が『浜辺の歌』の舞台ではないかと言われています。今は湘南人気で、イメージ的に混雑するところということしかないですが、昔はこの曲がぴったりくるところだったことは想像できます。しかし、これについては諸説あり、確定的なことは言えないようです。
しかし、この曲は春のうららかな日や初夏の過ごしやすい晴天の日なんかに吹きたくなる曲です。また、歌声に近いブラスにも相性がいいと思います。
私にとってこの曲は、記憶に残るものでした。60年ぐらい前、中学生になって、かわいい子が多いという不純な動機から、吹奏楽部に入部した私ですが、それでも、トロンボーンかトランペットをやりたいなあと漠然と思う、割と純粋な動機もありました。そして、幸運にもトロンボーンを2年間やっていて、ある日、学校の音楽室で、遊びでこの曲をコルネットを吹いていたところ、新しく赴任された熱心な部活担当の音楽の先生が駆け寄り、明日からトランペットをやってくれと言われました。
私の自宅は、ちょっとした倉庫もあり、練習場所に困らなかったので、部活以外でも練習していました。ただ、60年ぐらい前なので、そもそもトロンボーンが田舎ではなかなか売っていなかったということで、代わりに1万円のトーカンというメーカーの楽器を買ってもらって、遊んでいました。そのせいで、トランペットが吹けたのですが、担当に割り込んでまで、自分からやろうなどと思っていなかったので、なんとなく気が引けるところもありましたが、そこから、卒業まで、第1トランペットとして活動することになりました。そんな光景が思い出されて、季節になると時々吹いたりします。
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