この曲の正式名称は夜想曲第20番「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」といいます。
初版では「アダージョ」という標題がついていましたが、ブラームスがこの曲を写譜する際にこの標題を消してしまったということです。残った速度記号の“Lento con gran espressione”のみが残り、これが標題として知られるようになりました。
また現在では夜想曲として知られていますが、これはルドヴィカがショパンの未出版作品のカタログを作った際に「夜想曲風のレント(Lento w rodzaju Nokturna)」と記したことによるわけです。
なお、各版・出版社によって、音程・強弱・拍子など多くの異同があります。
この曲を作曲した当時、ショパンには、 コンスタンツィア・グラドコフスカという片想いの女性がいました。この曲の初版には「姉のルドヴィカが私のピアノ協奏曲第2番の練習の前に弾くために」と 書かれていたようですが、前者の片思いのほうがストーリーとしては成り立つように聞こえる曲です。
彼女への恋慕の情、憧憬は、当時の代表作・ピアノ協奏曲第2番 の創作の大きな動機ともなっており、この作品にはそのピアノ協奏曲第2番の第1楽章の変イ長調の第2主題、第2楽章の ピアノの出だしのアルペジオ、第3楽章のクラコヴィアク風の軽快なユニゾンの音型等が、そのままの音型で、 引用されています。