楽譜のご紹介
ところで、これはオペラでありまして、何をうたっているかぐらいは知っておいたほうがいいかということで、調べました。直訳をだらだら案内してもしょうがないので、ポイントで、何をうたっているかということだけです。要は闘牛場の盛り上がりを表現し、闘牛士、がんばれと言っているのです。牛の暴れる様子と闘牛士の健闘を祈るような感じで、へこたれるな、何故ならお前の恋人も見ている、いいところを見せてやれ、という感じです。そこまで直接的に言っていませんが、…。
この闘牛士の歌は、カルメンの第2幕で歌われる歌です。セビリャの下町にあるリーリャス・パスティアの酒場、兵隊たちとカルメンたちがテーブルを囲んでいます。罪を犯した彼女(カルメン)を逃がしたせいで格下げされ、1ケ月営倉入り(禁錮)になったホセが今日出てくるのを、逃がしてもらったカルメンは、知ります。そこへ人々の歓声に迎えられて人気闘牛士エスカミーリョがやってくるのでした。彼はグラナダの闘牛士ですが、セビリャで行われた闘牛のためにここに来ており、一同の乾盃のお返しに<闘牛士の歌>を歌うのです。それがこの歌。
まず、補足として、カルメンはジプシーの飛び切り美人の女性で、たばこ工場で働いていました。そして、守衛のドン・ホセに色目を使うのですが、許嫁もいる彼は乗ってきません(もしかして、隠せない欲望がほとばしっていたのかもしれません、私なら)。工場内で、カルメンがけんかをして、相手の女性の顔にナイフで十字に切るようなことをし、守衛であるホセに捕まりますが、(この隠された欲望があったせいなのか)ホセはこっそり逃がしてしまう。そこからこの話はいよいよ始まります。ただならぬ関係へと発展していくわけでありますが、この段階では、そこまで、乗り気ではない(ふりをした)ホセでした。ここまでが第1幕の流れです。
第2幕以降はまた話が変わってきて、ホセがあまり積極的ではない(欲望に忠実ではないので)ので、ついにカルメンも闘牛士のエスカミーリョといい仲になっていきます。よくあるタイプで、言い寄られるとどうもその気にはならない(ふりをする)のがホセのようで、その反対をやられると、隠しきれない欲望に狂いだすというありがちな漢だったのかもしれません。最後はカルメンがその並々ならぬ欲望に基づく嫉妬に狂ったホセに殺されておしまい。ちょっと飛びましたが、・・。
話は変わりますが、このカルメンの第1幕の設定がたばこ工場での出来事ということでした。スペインというと19世紀初めですと植民地もあり、まだ『たばこの専売』があったころです。20世紀末近くで専売が終わったようですが、それまでは時期によって違うのかもしれませんが、王立だったということです。したがって、守衛として兵隊がいるということも納得できるわけで、ここで兵士が現れるのはそういう意味だったわけです。王立のたばこ工場のあった場所もセビリアで、事実と一致している設定です。なお、今はセビリア大学がその場所に変わっています。
トランペット楽譜
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トロンボーン楽譜
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アルトサックス楽譜
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フルート楽譜
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