楽譜のご紹介
この曲の作曲家は不明なのだそうです。ところが、作詞家ははっきりしていて、ジョン・ニュートンという人が、牧師になってから作ったそうです。
この人、結構、今だからそう言えるのでしょうが、黒人奴隷売買をやっていた人で、非人道的な感覚の持ち主だったようです。昔のテレビで黒人奴隷の様子を描いた『ルーツ』という大ヒットの番組がありましたが、まさしくそこに出てくる奴隷商人、そんなような感じでしょう。
ところが、航海中に嵐に会い、自分が難破し、命を落とすかもしれない状況になって初めて神様に真剣にお願いをしたところ、奇跡的に助かります。それ以来、子供の頃、早くに亡くなった母から教わったキリスト教に真剣に向き合うようになります。
まずはじめに酒や博打やいかがわしい行為などをやめ、そのうち黒人奴隷売買もやめ、最終的には牧師になったのです。そんな話がある、アメージンググレースです。
歌詞の内容をザックリと説明します。しかし、クリスチャンでもないので、本当にザックリです。自分はたくさん間違いを犯し、それでもなお、神は私のことを見捨てなかった。だから、私は神に感謝し、神に従って歩むことにした・・・、みたいな感じです。ここら辺の価値の転換ができるのが宗教の偉大なる力なんでしょうか。というか、なんとなく西欧の発想のもととなるような、どんな状況(自分の行いがひどくても)であっても、いい面だけを見るという風な或る意味、力強さを感じます。
この曲はクリスチャンではなくても、よく知られた曲だと思います。ドラマでも映画でも聞くことができます。また、私も教会がらみで不覚にも何度か歌ったことがあります。不覚というのは、クリスチャンではないので、また、信じてもいないので、そういう風に感じられるということです。同じ日本人なので、教会の人と日常会話をしていても、そんなに違和感がないのですが、何かのきっかけで、ちょっと耐えられないほどの違和感を感じることがあります。まるで、ドミノ倒しの最後のドミノを倒したような、あるいは同じ人間だと思っていたら、じつは妖怪だったみたいな、食べちゃいけない下手物を食んで、平気な顔をしている人を見るような、薄気味悪さを感じます。これ以上は差し障りがあるので、おわります。