『くるみ割り人形』(くるみわりにんぎょう、露(原題): Щелкунчик, 仏: Casse Noisette, 英: The Nutcracker)は、ピョートル・チャイコフスキーの作曲したバレエ音楽(作品番号71)、およびそれを使用した2幕3場のバレエ作品です。
チャイコフスキーの三大バレエの一つであり、初演から100年以上を経て数多くの改訂版が作られています。ちなみにくるみ割り人形とは、人形の形をしたくるみを割る道具のことです。
≪くるみ割り人形のあらすじ≫
チャイコフスキーのバレエ音楽『くるみ割り人形』は、彼の最後の作品で、クリスマスの夜の物語です。主人公の少女クララがもらったくるみ割り人形は、実は魔法にかけられた王子様で、二人は一緒に、ネズミの王様と戦ったり、おとぎの国を訪ねたりといった冒険をします。
おとぎの国では、世界中のさまざまな踊りを見て楽しい思いにひたったクララでしたが、目覚めるとそれは夢でした。しかし幸せな気持ちはいつまでも残りました。「花のワルツ」は、おとぎの国を訪れた二人を歓迎して住人たちが踊る舞です。
第1幕
とある王国にて、王子が誕生します。しかし、その場にいた人間がねずみの女王を踏み殺してしまったために王子は呪われ、くるみ割り人形になってしまいます。
第1場
クリスマス・イブの夜、ドイツのシュタールバウム家の大広間ではパーティーが行われていました。少女クララはドロッセルマイヤー老人からくるみ割り人形をプレゼントされます。ところが、取り合いになり弟のフリッツが壊してしまったので、ドロッセルマイヤー老人が修理をします。
客も帰りみんなが寝静まってから、クララは人形のベッドに寝かせたくるみ割り人形を見に来ました。ちょうど時計の針が12時を打ちました。すると、クララの体は人形ほどの大きさになります(舞台ではクリスマスツリーが大きくなることで表現される)。そこに、七つの頭を持つはつかねずみの王が指揮する、はつかねずみの大群が押し寄せてきます。
くるみ割り人形の指揮する兵隊人形たちがはつかねずみに対し、最後はくるみ割り人形とはつかねずみの王様の一騎討ちとなり、くるみ割り人形あわやというところで、クララがスリッパをつかみねずみの王様に投げつけ、はつかねずみたちは退散します。倒れたくるみ割り人形が起きあがってみると、凛々しい王子になっていました。王子はクララをお菓子の国に招待し、2人は旅立ちます。
第2場
雪が舞う松林に2人がさしかかります(雪片の踊り – 雪の精たちのコール・ド・バレエ)
第2幕
お菓子の国の魔法の城に到着した王子は女王ドラジェの精(日本では「こんぺい糖の精」と訳されてきた)にクララを紹介します。お菓子の精たちによる歓迎の宴が繰り広げられました。劇末はクララがクリスマスツリーの足下で夢から起きる演出と、そのままお菓子の国にて終わる演出があります。その、歓迎の宴のところの音楽が花のワルツということです。
今から40年ぐらい前に、チャイコフスキーの生涯を描いた映画をやっていました。その中で、結構、印象的なシーンでこの曲が使われていたと思います。もうどんな映画だったかまるで記憶に残っていませんが、もしかしたら、YouTubeあたりで見ることもできるのかもしれません。
ネットも、テレビもラジオもない時代に、強力なエンターテイメントとしてこのバレエ劇が機能して、その音楽も強力にインパクトを与えていたのでしょう。
15年以上前にNHKで『映像の世紀』という連続番組(多分BBC作成)がありましたが、その中で意外と思われる情景が映し出されていました。トルストイがどこかの駅に到着したということで、集まった群衆が何万人にもなったというシーンです。いまなら、ただの作家のじいさんにそれだけの人が寄ってたかるということはないわけです。いかにトルストイは有名人であっても、現在では想像もつきません。まるでアイドル登場以上の反響が民衆の中にあったという事実です。
かつての日活の俳優がロケで地方都市に行くと身動きが取れないほど人が集まり、パニックになったといいます。つまり、芸術というと固くなりますけど、人々の眠っているパッションを引き起こしているものが芸術と言えなくもないという風に感じました。