『四季』(原題:Les Saisons)作品37bは、ピョートル・チャイコフスキーが作曲した、ロシアの一年の風物を各月ごとに12のピアノ曲で描写した作品集です。この曲は6月にあたる曲です。
雑誌「ヌーヴェリスト」(ゴシップ好きまたは短編小説家の意味)の企画依頼で1875年から翌年にかけて作曲され、1885年に曲集として出版されました。12曲とも三部形式で書かれています。また、各曲ともロシアの詩人が各月の風物を題材にした作品を参考にしているそうです。作曲当時ロシアでは旧暦を使っていたため、それぞれの月の季節感は現在と多少ずれています。
毎月、追い立てられるようにして作ったシリーズ物の一曲という事で、何を思って、舟歌なのか知りませんが、6月は、今の7月に当たるそうです。すなわち、全部1ヶ月ずれているということです。ロシアの7月の想像がつきませんが、たぶん、短い夏を惜しむ感じなのでしょうか。元々作曲の際に、その季節に合ったロシアの詩人の詩を参考にして作っていったそうです。
チャイコフスキーが30代半ばあたりで作曲しています。この曲には、アレクセイ・プレシシェーエフによる詩がつけられています。この詩は、静かな水辺の情景を描いており、波が足元に寄せてくる様子や、夜空に輝く星々が憂いを秘めている様子が表現されています1。
この詩は、穏やかでありながらもどこか寂しげな雰囲気を持ち、チャイコフスキーの美しいメロディと相まって、聴く者の心に深く響く作品となっています。