「パイン・アップル・ラグ」(Pine Apple Rag)は、1908年にスコット・ジョプリンが作曲したピアノのためのラグタイムです。ラグ・タイムとは、直訳すると、時間のロスみたいな感じになるのでしょうか、19世紀末から、20世紀初頭にかけてはやったシンコペーションを多用した音楽ジャンルの一つです。
この曲の作曲者のスコット・ジョプリンは、テキサスとアーカンソー州の州境あたりのどこかで1860年代に生まれています。かれは子供のときから、ピアノをひき、長じて10代には旅芸人(音楽)になりました。
しかし、ほとんどその記録が残っていないため、はっきりした幼少期の経歴がわからないのだそうです。わかっていることの中には、知人による証言などがあるようですが、それが怪しい内容なのだそうで、あまりあてにならない。ただ、成人してからはある程度分かっているようです。作曲活動は1890年代の末に始めていますが、つまり、30歳ぐらいだと思いますが、当時すでに音楽で生計を立てていて、黒人専門の大学へ行って西欧音楽を学んだといいます。
彼は、ラグタイムとして知られた音楽形式にすっかり取りつかれて、歴史上最も売れた「エンターテイナー」「ソレイス」「メイプルリーフ・ラグ」などのような曲の著名な作曲家となりました。また、”Guest of Honor and Treemonisha”というオペラも作っています。1917年4月1日ニューヨークで亡くなっています。
ジョプリンが今のように認識されるようになったのが、1970年代からだそうです。エンターテイナーが映画のスティングの中で使われたので、世界的にも知られたのかもしれません。
1960年代まで、黒人のリンチ法が廃案となることがなかった州もあるということなので、評価対象にならなかったのかもしれません。その後の公民権運動などもありましたが、普通の日本の中高生であった私にはさして、興味の沸く内容でもありませんでした。
その後、70年代の半ばすぎに、『ルーツ』という小説をテレビ化したものが、日本でも放送されて全国的にヒットし、はじめてそういう問題があったのだと知りました。この時代は、アメリカで『小さな巨人』などという映画も放映され、アメリカインディアンに対する残虐な行為が暴かれるなど、それまでタブーとされた白人社会の2面性をつくものも、出てきていました。ちょうど、ベトナム戦争もあった時期です。
日本では、その後、しばらくしてカルピスの黒人のイラストの商標が廃止され、『くろ○ぼ』という言葉も死語となっていきました。
ジョプリンの曲は多分、3曲目です。CMでも使われていた曲なのでなじみがあると思います。ジョプリンはピアノの名人であり、若くからその演奏で生活していたようですが、コルネットを演奏してもいたということです。
トランペット楽譜
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トロンボーン楽譜
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アルトサックス楽譜
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フルート楽譜
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