フォリア(folia)とは
フォリア(folia)は、イベリア半島起源の舞曲。15世紀末のポルトガルあるいはスペインが起源とされますが、いずれかは定まっていません。サラバンドと同じく3拍子の緩やかな音楽。フォリアとは、「狂気」あるいは「常軌を逸した」という意味があり、もともとは騒がしい踊りのための音楽であったことが窺われますが、時代を経て優雅で憂いを帯びた曲調に変化しました。
フォリアは、低音部の進行及び和声進行が定型化されるにつれて、これをもとに変奏曲形式で演奏することが広まりました。17世紀にはイタリアで大流行し、多くの作曲家が採り上げています(このブログではヴィヴァルディのものを上げています)。このような手法は、シャコンヌやパッサカリアなどの変奏曲、あるいは『パッヘルベルのカノン』とも共通するものです。
とくに、アルカンジェロ・コレッリの『ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ』作品5の12曲中最後に置かれた『ラ・フォリア』がよく知られ、フランチェスコ・ジェミニアーニはこの楽曲を合奏協奏曲に編曲にしています。その後も各時代で扱われたほか、フォリアとは明記されていないものでも、フォリアの低音部進行を部分的に採用している曲も多いです。
コレッリの曲が有名になったため、フォリアそのものがコレッリの作品と同一視されるという誤解も広まり、20世紀になって、セルゲイ・ラフマニノフは、フォリアを題材にした変奏曲を作曲したとき、『コレッリの主題による変奏曲』作品42という題名をつけているほどでした。
つまりは、ラ・フォリアというのも音楽形式の一つなんです。その中でも代表的なものということで、ちょっと長いのですけれど、練習曲という位置づけではうってつけかと思い、あげることにしました。トランペット用に音を下げているところもたくさんありますが、雰囲気は出ていると思います。