『真珠採り』(しんじゅとり、原題 : Les Pêcheurs de perles)は、フランスの作曲家ジョルジュ・ビゼーが作曲した3幕からなるオペラです。
テノールのアリア「耳に残るは君の歌声」(通称「ナディールのロマンス」)や、テノールとバリトンの二重唱「神殿の奥深く」などが有名で、ここでは、前者を楽譜にしています。
≪作曲の由来≫
ローマ留学から帰国したビゼーは、ローマ大賞受賞者の義務として1861年にオペラ『太守の一弦琴』(La Guzla de l’émir )を作曲しました。翌1862年にオペラ=コミック座で稽古が行われたが、直前になって中止されます。このオペラは現在に至っても上演されていません。
ちょうどその頃、アレクサンドル・ヴァレフスキ伯爵(ナポレオン1世の庶子)がリリック座の支配人カルヴァロに10万フランを差し出し、ローマ大賞受賞者で、まだオペラを作曲していない新人の手による3幕物のオペラの上演を要望していました。
カルヴァロは、かねてからその楽才を認めていた(かつ、この要望に当てはまっていた)ビゼーを登用することを決め、ビゼーに『真珠採り』の台本を渡すと同時に作曲を依頼しました。ビゼーは台本を読んでその内容を気に入ったため、1862年に作曲に着手します。しかし生活苦のため内職(主にピアノ用の編曲)をしていたので、完成は1863年の春までかかってしまいました。
真珠採りというと、なんとなく海女さんを連想してしまいます。海女さんというと日本ではあの白い布をまとって素潜りをする姿を思い浮かべますが、ビゼーの真珠とりはどういう格好だったのでしょう。そこで、またすぐ連想するのが、昔の映画です。相当古いので、知らない方も多いと思いますが、ソフィアローレンとアラン・ラッドの共演の映画で、『島の女』(イルカに乗った少年)というのがありました。内容は海に沈んでいる遺跡の発掘をする学者と案内人の島の娘とのラブロマンスということだったと思います。当時としては超刺激的なソフィアローレンの姿ですが、それより長く記憶に残ったのは歌のほうでした。
タンゴ風のアレンジされたポップスとしても聞くことが多かったこの曲も最近は耳にすることもなくなりました。歌劇中の歌なのですが、私はタンゴとして認識していて、おそらくアルフレッドハウゼ楽団なんかで聞くことが一番多かったのではないかと思います。ただし、意識して聞いていたというよりも、ラジオから勝手に流れてきたという感じです。今は、たまにドラマなんかで情熱的なシーンなどに使われる程度になってしまいました。