楽譜のご紹介
小学校の教科書に載っていたのですが、もうすっかり忘れていた唱歌でした。当時は、詩の意味もろくに教えてず、ほとんど強制的に歌わされていた感が強かったせいでしょう。
漠然と意味も分からず聞いていたので、わからなかったのですが、これは、海の近くの冬の風景を描いているのだと、今になって気づきました。詞の内容が言葉となって、初めて理解できました。今ならば、画像や映像を屈指して子供に理解させることができるでしょう。昔は、言葉で理解させるには、相当の苦労があったと思います。
さ霧消ゆる 湊江(みなとえ)の
舟に白し 朝の霜
ただ水鳥の 声はして
いまだ覚めず 岸の家
1番は水辺の朝、2番は田園の昼、3番は里の夕方を歌っています。
1913年(大正2年)に刊行された『尋常小学唱歌 第五学年用』が初出。2007年(平成19年)に「日本の歌百選」に選ばれました。
子供(60年ぐらい前)のころ、小学生にとって音楽の成績というのは、教育環境をもろに反映していたもののように感じました。当時は、ピアノなどは高根の花でしたので、小学生の女子はオルガン教室に通っていました。鍵盤を模したプリントされた紙をオルガンに見立てて練習したりしていたと思います。
めずらしく同級生の女の子のうちに行くと、厳寒の地には似つかわしくない寒々とした一室に、中古のボロボロの足踏みオルガンがありました。そして、それを自慢げに演奏していた女の子を思い出します。そんなときの印象がこの曲に残っています。