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【無料楽譜】プロコフィエフ作曲『ピーターと狼』のピーター部分(From Peter and the Wolf)

 50年以上経ちますが、中学の音楽の時間で『ピーターと狼』の授業のときに、紙芝居だったかなんだったか、記憶が定かではないですが、その説明の物々しさに比べて、内容が地味だったので、ちょっとがっかりした記憶があります。

多分、作った当初は相当インパクトがあったのでしょうけれど、・・・。それと、今と違ってビデオなんかない時代ですので、教師が説明に結構手間取っていた記憶があります。確か、語りが入ったレコードをかけて、途中で止めては説明していたと思います。このピーターの部分は特に有名な一節になりますので、知らない人はいないでしょう。何も考えていない無邪気な男の子のイメージですね。

≪あらすじ≫
ピオネールの少年ピーターは、森の牧場に建つお祖父さんの家に住んでいました。ある日ピーターは牧場に駈け出していきますが、その際庭の戸を閉め忘れてしまい、庭で飼っていたアヒルは外の池で泳ぎ始めてしまいます。アヒルは小鳥と言い争いを始める(「飛べない鳥なんているのかい?」―「泳げない鳥なんているのかい?」)。そこにピーターのペットの猫が忍び寄っていくが、ピーターが声を掛けたために小鳥は木の上に、アヒルは池の中央に逃げおおせる。

お祖父さんが現れ、ピーターが一人で庭の外に出たことを叱る(「狼が森から出てきたらどうするんだ?」)。ピーターは「僕のような男の子は狼なんて怖くないんだ」と反論するが、お祖父さんはピーターを家に連れ戻し、戸を閉めてしまう。

おじいさんに叱られたピーターは家に閉じ込められます。すると、おじいさんの言ったとおり、「大きな、灰色の狼」が森から姿を現します。外に出ていた猫は素早く木の上に駆け上がって難を逃れますが、アヒルは慌てて池を出て逃げるものの、狼に追いつかれ、飲み込まれてしまいます。

ピーターはロープを持ち出すと、庭の塀をのぼって小鳥に話しかけ、小鳥が狼の鼻先を飛び回って狼を攪乱しするように指示し、見事そのすきに、ピーターがロープの結び目で狼の尻尾を捕え、木に結びつけたために狼は逃れようがなくなりました。

そこに狼を追ってきた数人の狩人が銃を持って登場します。ピーターは彼らに手伝いを求め、動物園へと勝利のパレードに出発します。ピーターを行列の先頭に、狼を引く狩人、猫、文句をこぼし続けるお祖父さん、小鳥と続きます。

物語の最後、ナレーターは「耳をすましてみて下さい。アヒルが狼のお腹の中で鳴いているのが聞こえるでしょう。狼は慌てていたので、アヒルを生きたまま丸呑みしてしまったのです」・・・おしまい。

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作品の詳細な経緯は不明な点が多いということです。しかしこの作品は1936年に作曲されており、当時モスクワで設立された中央児童劇場のナターリャ・サーツから着想を得たものと一説にいわれています。

彼女はこの際、「人間ばかりではなく、動物も登場する音楽物語は如何ですか。」という提案をして、プロコフィエフがそれを受け入れたのだそうです。

台本はロシアの民話を基にプロコフィエフ自身が書き、ナレーターつきの「子供のための交響的物語」として作曲されました。初演は1936年5月2日にモスクワの児童劇場で行われました。

プロコフィエフが1933年に祖国に復帰して、大衆とソヴィエト国家に受け入れやすい平易なスタイルを模索していた時期の作品です。音楽は新古典的な明解さが支配しており、また物語の情景にかなり忠実に作曲されています。子供のための音楽物語「ピーターと狼」が作曲されたのは、プロコフィエフが20年近くに及ぶ海外での生活をたたんで1933年に帰国してから3年後のことでした。

彼は、神童として教育を受け、昔はブルジョワジーの好楽家のために自由に創作できたのでしたが、その昔とは大違いの状況でした。(表向きは)国の担い手である労働者階級のために作曲しなさいということですから、メロディーひとつひねり出すにしても分かりやすく、しかも社会主義芸術として外国で披露するにも恥じないものが求められたのです。

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演奏例

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