楽譜のご紹介
春の海(はるのうみ)は日本の箏演奏家、作曲家の宮城道雄が作曲した箏曲。箏と尺八の二重奏です。
1930年の歌会始の勅題「海辺の巖」にちなみ1929年末に作曲されました。
この曲の作曲者の宮城(1894~1956)は曲のモチーフとして、8歳で失明する前に祖父母に育てられて住んでいた瀬戸内の景勝地、福山市の鞆の浦の美しい風景が目に焼きついたのをイメージして描きました。
宮城道雄の死については寝ぼけてトイレのドアと乗降口を間違えたなどの推測や一方では自殺が噂されたが、どれも推測や憶測にとどまり事故の真相は不明です。いずれにしろ、演奏旅行の途上の列車から落ちて死亡したようです。周囲の人物評では、百間が道雄の行動を常々観察して「カンの悪い盲人」と評しており、高峰秀子もまたこの訃報を新聞で知った時に、ただちに「宮城先生は誤ってデッキから落ちられたのだ」と思ったという。実際に道雄は晩年、(場慣れているはずの)自宅内で転倒して片方の眼球を痛め、眼球摘出手術を受けるという事故も経験しており(その後は義眼を入れていた)、視覚障害者としては歩行感覚が鋭敏でなかったことを伺わせます。
『春の海』は宮城が西欧の音楽に影響を受け作曲した作品で伝統的な近世邦楽ではないが、日本的な気色を強く印象付けている楽曲に仕上がっています。お正月のための曲ではありません。『春の海』が有名になったのは、フランスのヴァイオリニストのルネ・シュメーとともに演奏したレコードによってです。昭和7年に来日したシュメーが『春の海』を気に入り、尺八のパートをヴァイオリンで演奏したものを録音したこのレコードは、日本、アメリカ合衆国、フランスで発売されました。
まさに新日本音楽を代表する楽曲となったのでした。日本では、小学校における音楽の観賞用教材として指定されているほか、特に正月には、テレビ・ラジオ番組や商業施設等でBGMとして使用されているため、今日では正月の曲の一つとして知られています。
この曲を聴くと、もうすぐ、お正月です。ということで、上げた曲ですが、もう正月もお盆もへったくれもない世の中になったような感じもします。思えば、50年ぐらい前にコンビニができて、それでも当時は、正月は休みでしたが、そのうち、年中無休になり、24時間営業も普通になりました。競争という名のもとに、便利そうで窮屈な世の中になったような気がします。便利がそれを作る人にとっては、人間的ではないということにもう少し配慮があってもいいんではないかと思います。なんてね。時代は逆回りはできないのでしょうがないか…。と、10年前に思っていましたが、昨今、コンビニでも正月休みが横行してきているようです。それも人手不足という理由で。つまり、おもてなしなどといってはみても、結局は背に腹は代えられぬという企業の論理で回っているということでしょう。どっちに転んでも人間的ではないように感じます。
ちょっと調子に乗りすぎ楽譜ですが、なかなか手ごわいと思います。正月が近づいてくると必ず流れる曲ですが、ブラスで演奏されることはないと思います。尺八でできることが管楽器でできないことはないという思いから、楽譜を作ってみました。