楽譜のご紹介
この曲は、映画、『昼下がりの情事』という映画(1957年)で使われて、大ヒットした曲ですが、1960年から70年代にかけて盛んに流れていた曲です。
映画のほうは、ゲーリークパーとヘップバーンの共演で、大富豪のプレイボーイとそれにあこがれる少女というような設定だったと思います。そして、この曲がうまく使われていた。
もちろん、何度もリバイバルとして映画上映されており、田舎の町にも私が小学生の時にやってきたりしました。
ところが、「真昼の決闘」とかそういうタイトルならわかるのですが、「昼下がりの情事」というのがわからなくて、一番上の高校生の兄に質問したことを覚えています。その時の兄の微妙な反応が、かえって今も記憶に残っています。多分、1960年代の初めのほうだと思います。その後、高校生になるまでこの映画を見る機会はなかったのですが、曲だけは知っていました。
当時は映画音楽、特に洋画の物が最も日本でも隆盛を迎えていたと思いますが、その中でもこの曲は特別なホスピタリティーを感じる曲だったように思います。
この曲は、実は映画音楽ではありません。もともとは、1904年にフランス人のフェルモ・ダンテ・マルシッチが作ったワルツで、その後1933年にアメリカ映画の”The House on 56th Street”で使われています。
私もずっと映画音楽だと思っていました。それだけ、映画のヒットとともに知られたということだと思います。この時には、ゲーリー・クーパーは相当歳だったと思います。この映画よりも『真昼の決闘』(1952年)のゲーリー・クーパーが好きです。話が変な方向に行きそうなので、これまでとします。
1957年の作のこの映画ですが、モノクロで何か夢みごこちのするような、そんな感じの映画です。だから、この曲がぴったりだったのかもしれません。実際にオードリー・ヘップバーンも大戦中は、アンネの日記のアンネフランクのように、身を隠して生きるという、そんな生活をしていたといいます。そして、あの輝かしいばかりのデビューと、その後の活躍、晩年の人道活動にのめりこむ姿。この夢のような曲とは、対極にあるような気がします。だからこそ、エンターテイメントに意味があるのかもしれません。
大戦後の世界に流れる明るさをとりもどした世相を反映したシンデレラのお話のような物語です。
おまけ