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『タンホイザー』(Tannhäuser)WWV.70は、リヒャルト・ワーグナーが作曲した、全3幕で構成されるオペラ。正式な名称は『タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦』(Tannhäuser und der Sängerkrieg auf Wartburg)ですが、一般的には前者の題名で知られています。
ここで取り上げる部分は『巡礼の合唱』ということですが、その巡礼の物語はつまりこういうことです。
≪あらすじ≫
中世のドイツでは、吟遊詩人としてうたう習慣が騎士たちの中でもありました。このことを十分認識しておかないと、話が続きませんので意識しておいてください。
騎士の1人であるタンホイザーは、テューリンゲンの領主の親族にあたるエリーザベトと清き愛で結ばれていましたが、ふとしたことから官能の愛を望むようになり、愛欲の女神ヴェーヌスが棲んでいるという異界ヴェーヌスベルクに赴き、そこで肉欲の世界に溺れていました。
第1幕
ヴェーヌスベルクで快楽の日々を送っていたタンホイザーだしたが、ある時夢の中で故郷を思い出し、ヴェーヌスベルクから離れようと決心します。ヴェーヌスは彼を引き止めようと誘惑しますが、タンホイザーは強い意志によってそれを退け、ヴェーヌスベルクを消滅させました。
異界から脱出したタンホイザーはヴァルトブルク城近くの谷に放り出されます。そこに領主のヘルマンや親友のヴォルフラムらが通りかかります。ヴォルフラムもまたヴァルトブルク城の騎士です。領主やヴォルフラムは出奔していたタンホイザーが帰ってきたことを喜び、再びヴァルトブルク城に戻るよう勧めますが、官能の世界に溺れた罪の重さを思ったタンホイザーはそれを拒否します。
しかしヴォルフラムはエリーザベトが彼の帰りをずっと待っていると説得し、タンホイザーはヴァルトブルクに帰ることを受け入れます。
第2幕
ヴォルフラムらと共にヴァルトブルク城へと戻ったタンホイザーは、エリーザベトと再会を果たし、お互いに喜び合う。
その日はちょうど歌合戦が開かれる日(「歌の殿堂のアリア」、「大行進曲」)で、課題は「愛の本質について」でした。
ヴォルフラムや他の騎士達が女性に対する奉仕的な愛を歌うのに対し、タンホイザーは自由な愛を主張して観衆の反感を買い、ついにはヴェーヌスを讃える歌を歌いだす(「ヴェーヌス讃歌」)。
激怒した騎士たちはタンホイザーを諌め、エリーザベトは領主に彼の罪を悔い改めさせるように願います。我に返ったタンホイザーは自分のしたことを悔やむが、時すでに遅し。
領主はタンホイザーを追放処分とし、ローマに巡礼に行き教皇の赦しが得られれば戻ってきてよいと言います。タンホイザーはローマ巡礼に加わりヴァルトブルク城を去っていくのでした。
第3幕
舞台はヴァルトブルク城近くの谷。タンホイザーが旅立ってから月日がたちました。エリーザベトは、タンホイザーが赦しを得て戻ってくるようにと毎日マリア像に祈り続けていました。
ちょうどローマから巡礼の団体が戻ってくる時、エリーザベトはその中にタンホイザーの姿を探しますが、彼はいません。ついにエリーザベトは自らの死をもってタンホイザーの赦しを得ようと決意します。見かねたヴォルフラムは説得を試みるが失敗し、彼女はこの世を去っていくのでした。(「夕星の歌」)
その場に一人残されたヴォルフラムの前に、ぼろぼろの風体のタンホイザーが現れます。
ローマに行ってきたのかと尋ねるヴォルフラムに対し、彼は巡礼の顛末を語りだします。タンホイザーは幾多の苦難を乗り越えてようやくローマに到着し、教皇に赦しを乞うたのでしたが、教皇は「罪はあまりにも重い」として彼を赦さず、「私の杖が二度と緑に芽吹くことがないのと同じく、お前は永遠に救済されない」と破門を宣告したのだという。
絶望のあまり自暴自棄になったタンホイザーは、再びヴェーヌスベルクに戻ろうとしてさまよい、そうしてヴォルフラムに出会ったのだった。
タンホイザーの呼びかけに応じてヴェーヌスベルクが現れ、ヴェーヌスが手招きする。ヴェーヌスへ引き寄せられていくタンホイザーをヴォルフラムは懸命に引きとめます。
そこへエリーザベトの葬列が現れます。タンホイザーは我に帰り、異界は消滅します。エリーザベトが自分の命と引き換えにタンホイザーの赦しを神に乞うたことをヴォルフラムが話すと、タンホイザーはエリーザベトの亡骸に寄り添う形で息を引き取るのでした。
ちょうどそこへローマからの行列が緑に芽吹く教皇の杖を掲げて到着し、特赦が下りたことを知らせて幕となるのが、この物語のおしまいです。