交響曲第8番ト長調作品88は、チェコの作曲家、アントニン・ドヴォルザークが作曲した交響曲。古くは出版順により第4番とよばれていました。
ドヴォルザーク(1841年~1904年)は、すべての作品をジムロック社から出版する契約を結んでいましたが、ジムロック社は低い作曲料を上げようとせず、また小品ばかり要求し(この交響曲第8番の作曲の際も1000マルクしか支払おうとしなかった)、交響的変奏曲や弦楽五重奏曲第2番、交響曲第5番などでは彼の意向を無視した作品番号を勝手に付与していたため、ドヴォルザークは契約を一方的に破棄してイギリス、ロンドンのノヴェロ社からこの作品を出版しました。
そのため、かつては『イギリス』という愛称で呼ばれることもありましたが、音楽の内容はイギリスというよりもむしろチェコであり、最近では『イギリス』と呼ばれることはほとんど無くなりました。
なんとなく、風になびく草原と羊の群れ、断崖絶壁に面した少し荒涼とした自然を思い浮かばせるような気がします。しかし、その別名に反して、まったくイギリスとは関係ないようです。どちらにしても、荒涼たる自然がよく似合いそうな曲ではあります。
第7番以前の交響曲にはブラームスの影響が強く見られ、また第9番『新世界より』ではアメリカ滞在のあいだに聞いた音楽から大きく影響を受けているため、この交響曲第8番は「チェコの作曲家」ドヴォルザークの最も重要な作品として位置づけることができます。ボヘミア的なのどかで明るい田園的な印象が特徴的で、知名度の点では第9番には及ばないものの、第7番などと同様に人気のある交響曲です。
なお、第1楽章の展開部の入り(提示部が繰り返されるかのように始まりながら、展開されていく)、再現部の入り(提示部とは明らかに違った形で始まる)の処理、第4楽章が変奏曲であること、主調が平行調の関係にあることなど、形式面で、ブラームスの交響曲第4番との共通性が見られるということです。
1889年の8月から11月にかけて、ボヘミアのヴィソカにて作曲され、1890年、プラハにて作曲者の指揮で初演されました。
トランペット楽譜
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トロンボーン楽譜
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アルトサックス楽譜
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フルート楽譜
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