楽譜のご紹介
“But Not for Me”ジョージ・ガーシュイン(George Gershwin)作曲、アイラ・ガーシュイン(Ira Gershwin)作詞で作られた歌曲です。
ギンガー・ロジャースのプロデュースの1930年のミュージカル『ガール・クレイジー(Girl Crazy)』のために書かれています。この曲は、「ガール・クレイジー」(Girl Crazy)というミュージカルの中の1曲だということです。クレイジー・ガールとガール・クレイジーと違いがあるかどうか、よくわかりませんが、アイ・ガット・リズムも、このミュージカルの1曲です。エンブレッサブル・ユーもそうです。
また、1992年のクレイジー・フォー・ユー(Crazy for You)はこのガール・クレージーをもとにしています。1943年のガール・クレージーの映画では、ジュディー・ガーランド(Judy Garland)が歌っていました。
But not for me、文字通りですが、『でも、私のためにではないのよね』という感じの意味でいいようです。前半部分は、夢を信じればかなうなって嘘っぱちだという投げやりな感じの歌で、テーマに入ってからは、彼がいろいろしていることは私のためにしていることではない、彼がやっている(ノックする、家を立てようとする等々の)ことは全て、私に対してではない。と恨み節的な内容になっています。下の動画で日本語訳が出ます。
私がこの曲を知ったのは、チェット・ベイカーの歌によるものでした。(最初の動画)
また、女性ジャズボーカルのエラ・フィッツジェラルドが1959年に発表した代表的なアルバム、エラフィッツジェラルド、ジョージとアイラ・ガーシュインを歌う(Ella Fitzgerald Sings the George and Ira Gershwin Songbook)』でも歌われました。1960年のグラミー賞の最優秀女性ボーカリスト賞をその歌で獲得しました。
そのほかにゴスペル調に歌われたり、いろいろなアーティストによって演奏もされています。
ガーシュインの曲はいろいろな趣の曲があります。この曲はフランク・シナトラなどが良く歌っていたようです。
日本では80年代のファミレスが急速にでき、外食が普及していった時に、よくファミレスのBGMとして、流れていた記憶があります。ちょっとおしゃれだけど、あんまり気にならない音楽ということでしょう。
昔、ベニーグッドマン物語という映画があり、日本のテレビの洋画劇場などで紹介されていました。ロシア系ユダヤ人の移民として苦労して最底辺から成りあがったミュージシャンとして知られていますが、ガーシュインも同様な経歴だったようです。ただし、ガーシュインのほうがずっと年上です。ベニーグッドマン物語では、なんとかして息子たちはいい暮らしをしてほしいということで、親が音楽をさせるために、クラリネットを習わせたということでしたが、ガーシュインも同じような経緯から音楽を習っていたということです。