楽譜のご紹介
相当古い話ですが、20世紀になりたてのあたりに、バディー・ボールデンという黒人コルネット吹きがいました。その後のジャズにつながる重要な人物として知られています。当時のいろいろな音楽を自分流に解釈しコルネットを通して表現し、絶えず即興音楽を奏でていたということです。そして、とにかく音がでかかったということです。
その後、キング・オリバーやその弟子のルイアームストロングと続き、コルネットを通じてジャズが発展していきます。もちろん、その他の楽器による演奏もありました。そんなボールデンのバンドのラストに演奏されるのが、このホームスイートホームということでした。
そして、たぶん、想像ですが、ルイ・アームストロングがコルネットを初めて練習した曲もホームスイートホームといわれており、単なる偶然ではないと思います。
この曲はルイ・アームストロングが貧しい少年時代に、アルバイトで稼いだお金で、中古のコルネットを買って、初めて吹けるようになった曲だそうです。
20世紀初頭では、トランペットより、コルネットのほうが一般的だったようです。それと、扱いやすさもあるでしょう。まさに、ジャズの創生期のお話で、貧困にあえぐ母子家庭であったルイ・アームストロングの何かに触れるものがあったに違いないと思います。
ジャズの歴史については、30年ぐらい前にNHKの海外番組の日本語版として、紹介されていた『JAZZ a film by ken barns』というのがあり、大変面白かったのですが、日本語版はなく、youtubeで一部上がっています。
ただ、黒人奴隷がアメリカで、どのように暮らし、どのように、ジャズを生み出したかというところが、youtubeでも抜けていて残念です。ちょうど、ルイ・アームストロングの天才を表現している部分が抜けているのです。
ビルマの竪琴という古い映画で、琵琶の演奏が印象的です。この曲もやはり明治からの音楽教育のなかで、みんなが歌えるような曲になった曲の一つでしょう。戦中も敵性音楽は禁止される中、こちらは対象外となったといいます。