楽譜のご紹介
アメリカ野砲隊(英語: U.S. Field Artillery / ユーエス・フィールド・アーティラリー)は、ジョン・フィリップ・スーザが1917年に作曲した行進曲。
正式な原題は「The U.S. Field Artillery March」、直訳すると「合衆国野戦砲兵隊行進曲」となるため、『合衆国野戦砲兵隊』とも呼ばれます。
第一次世界大戦中に予備役海軍大尉として各地で軍楽隊を指導していたスーザが、アメリカ陸軍第306野戦砲兵隊のジョージ・フリードランダー大尉の求めに応じて作曲しました。
フリードランダーは、『弾薬車(ケーソン)の歌』(The Caisson Song)、『弾薬車は進んで行く』 (The Caissons Go Rolling Along) あるいは『野砲隊の歌』(The Field Artillery Song)の名で知られていた野砲隊歌を曲中に使うことを提案し、スーザもこの歌を気に入って行進曲のトリオ(中間部)に取り入れました。
フリードランダーもスーザもこの野砲隊歌が南北戦争の頃に作られた古い曲だと思っていましたが、行進曲の出版後になって実際には陸軍中尉としてフィリピン戦線に参加していたエドマンド・グルーバー(Edmund L. Gruber)が1908年に作曲したものであることが判明したということです。
この曲はちょうど100年ちょっと前に書かれたものです。スーザの壮年期ということです。曲としては、あまり演奏されることはないように思いますが、結構一度聴いたら忘れられない気もします。出だしのクラリネットの装飾音のところやその後の展開、そして、最後のテーマと割と好きです。
スーザは自身の演奏の際にはトリオで銃声を加えており、陸上自衛隊の音楽隊による野外演奏会でも、チャイコフスキー作曲「1812年」などと同様に本物の大砲(空包を使用)を使った演奏が行われることがあります。
後半部分のテーマThe Field Artillery Songはジョンウェインというハリウッドを代表するような役者が戦後の1949年に撮った映画のテーマになった曲です。映画のタイトルは『黄色いリボン』ということで、亡くなられた高倉健さんの『幸せの・・・・』は、その映画を意識した題名です。この健さんの映画が発表されたときに、ジョンウェインの『黄色いリボン』という映画を知らない人はいなかったと思います。こういうニュアンスというのが、歴史の中に埋もれていくんでしょうね。