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【奏法さすらい記】トランペット演奏には基礎体力(筋力)は必要、スーパーチョップス奏法がすべてのトランペット演奏上の問題を解決するわけではない

鉛筆をくわえる方法で、唇周りの筋肉のバランスを矯正して、高音域もかなり楽に吹けるようになりました。あくまでも今は、その成果によると思いますが、この筋力バランスをもとに、スーパーチョップスを試すことを盛んに実施しています。具体的に言うと、スピットバズという方法です。スーパーチョップスで推奨されているバズイングの方法です。

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【スーパーチョップスで推奨されているバズイングの方法】

もう一度おさらいで,このバズイングの方法をご案内します。口腔内のセッティングは舌の先端を下唇の裏の上側につけて、舌の上の表面側の途中のところに上唇の裏側をつけ、さらには、上の歯にも接しているというのが、吹き始めのポジションです。そして、舌の上に髪の毛が付いていて、それを吹き飛ばすような形でバズイングするというのが、スーパーチョップスで推奨されているバズイングの練習方法です。この状態で、低い音を中心に練習し、徐々に高い音へと拡大するということが推奨されています。

そして、私の場合、長い間、中音域(5線の直上のGまで)までは、この状態で何とかバズイング出来ていたのですが、それ以上はできませんでした。ところが、もう一度、スーパーチョップスの教科書を読み返して、あることに気が付きました。それは、英語と日本語の語感のちがいによる誤解があったのではないかということです。

この教科書の中では、先ほどのようなセッティングが日本語で表すとこのように、表現されていました。『あなたの舌はあなたの上下の歯を通って、下唇の裏側の上部につけなさい。そして、舌の上部は上唇の裏の先端の赤い部分につけなさい。さらに、上の歯の刃先にも接すべきです。』とあるのです。このまま、日本語のように理解すると、リップを塗るところのいわゆる唇は上唇の裏には入らないかのように思うのですが、日本語と英語のちがいで、くちびるもはいるのではないかということです。結論から言うと、リップクリームを塗るリップ部分が舌に接していることのほうが本来の意味ではないかと思ったのです。(赤い部分というところが、このリップクリームを塗る部分ではないかという解釈です。英語の上唇はUpper Lipとなりますが、この場合は鼻の下から上唇までをいうそうです。)

さらに、リップクリームを塗るこのリップの部分が何の支えもなく振動するということが、非常に問題であって、それを解消するのがスーパーチョップスの方法であるという風に考えるとすべてに合点が行くのです。なぜ問題なのかというと、息の強さによって一定の振動ができずに、持久力や正確性が落ちるということです。いわゆる粘膜奏法といわれる部分でもあるわけです。それを舌に近接しなおかつ気持ち、内側にまくような形にすることによって、ここが息の勢いなどで吹き飛ばされることなく、舌がストッパーとなって、振動をし続けることができるのではないかと考えたわけです。

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高音になるに従い、唇を変える

さらに、スーパーチョップスの教科書の中に高音になるに従い、口の内側に両唇をまき、舌に押し付けるようにするのだということが書かれています。また、口の中で振動を生むような感じになるとも言っています。つまり、マウスピースの中で振動させるのではないということなのです。そうすると、高音域でそんなに息を使っていないのだというデモンストレーションの意味も分かってきます。

また、ここでも鉛筆の方法とは全く違って、舌が間にはいる感じになるとはいえ、若干,唇を閉じる感じにするということです。

ここまでご紹介して、これは言っておかないと、訳が分からなくなるということを追加でご案内します。それは、スーパーチョップスのビデオ教材では触れられていませんが、教科書のほうにある内容です。この奏法のいろいろな図が流布しています(ネットで画像検索、superchops
trumpet等で出てきます)が、完成形の図の前段階の図というのがあります。しかも、教科書のほうでは、その状態で演奏できるような形になれたら、最終形の超ハイトーンの図(前回の記事にリンクを張っています)のようなセッティングを練習してもいいだろうということになっています。というか、それが前提で次に進めと言っています。簡単に言うと唇と唇の間に舌がおかれている状態です。もちろん上下両方の歯の前方でです。

この手法の提唱者のジェーローム・カレは、モーリス・アンドレの奏法の勉強会みたいなものに出たときに、舌を同じように使えとモーリス・アンドレが説明していることで、自分の考えが正しいことを確信したということです。以前、ご案内したモーリス・アンドレの演奏途中の写真をもう一度見ると、舌が唇の間に置かれていることが分かると思います。少なくとも、上下の歯の前に来ている感じが分かると思います。

ある程度の経験者であることを前提にしている

今ここで書いているこの文章は多分に自分の考えをまとめる意味で書いているといってもいいのですが、どなたかの参考になればと思っています。そして、実際、このことを踏まえて練習しています。そこで、気が付いたのが、これらのことは、たぶん正しいのだろうけれども、人によってはまだその段階に行かない、つまり、まだ唇やその他の肉体的な状況がそれを受け入れるレベルに達していないという人にとっては、正しくないのではないかということです。というのも、鉛筆の方法で唇の周りの筋力強化により、以前はできなかったスピットバズができるようになったからです。簡単に言うと私の唇周りの筋力の不足がこのスーパーチョップスの習得を妨げていたのだと思います。

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スポーツでいう基礎体力と同じで、10Kmしか走ったことがないのに、あるいはその体力しかないのに、フルマラソンをしているような状態で、この奏法にチャレンジしていたのではないかということです。もしかしたら、今もそうなのかもしれませんが、少なくとも、唇周りの筋肉の使い方などを鉛筆をくわえる方法で強化できたので、今は通常のバズイングと同様にスピットバスも同じようにできるようになったということです。

ただ、ジェローム・カレが言っているように、何の努力も、ウォーミングアップも必要なく、疲れ知らずの奏法だというふれこみには、眉唾のところがあるのかもしれません。単純に私がそのレベルではないこともあるかもしれません。ただ、最近の練習では、2時間を超えた練習をすると、やはりそれなりに疲れてきて、高音が出にくくなります(以前よりもそれでもずっと楽になりました)。その時に起こることとして、上唇が下に垂れてくるということです。これを少し意識して上側にもってくるようなセッティングが必要なのかもしれません。事実、そうしたほうがスピットバズでもいい結果が出るのです。ただ、ジェローム・カレによる上唇の言及には、そんなことは書かれていません。

限られた時間の中でやっている練習ですが、最近の喜びはスピット・バズがやっと軌道に乗り始めたことです。次は、もしかしたら、ジェローム・カレが言っているように、深く大きなマウスピースでは成果が出ないという言葉に何かヒントがあるのかもしれません。今使っているマウスピースはどちらかというと大きめです。さらには深い。音がとても気に入っているので、変えたくはないのですが、選択肢の一つとして考えることも必要なのかもしれません。なぜなら、今までとは違う状態になっているからです。

さらに、旅は続く。

追記 その後、いろいろと手持ちのマウスピースに変えてやってみましたが、あまり関係ないような気がします。むしろ、唇の間に舌を置くという感覚を徹底し、なおかつ、舌の厚みを維持するように心がけ、歯と歯の間を狭めないように注意していくほうがいい結果が出ているのが現状です。

そして時代は変わり

このページの最初のほうは、実に7年前の記述です。あれから、そんなに経ったのだとびっくりします。当時はスーパーチョップの提唱者のジェローム・カレも存命で、著作権などの問題もあったと思いますが、それほど詳しく説明している日本の方もいらっしゃいませんでした。しかし、2年ぐらい前から、ちょくちょく、触れられることがあるようになりました。特に次に紹介する動画は奏法の代表的なテキストの一部を和訳して動画にした感じです。参考になると思います。

 そして、最近になって、自分のセッティングの間違いにも気づきました。私の問題は、マウスピースを当てる位置が固定されていなかったということです。それにより、下唇がリムに引っ掛かりうまく下あごを使うことができなかった。これは高音域において致命的に影響してきます。

 つまり、上あごの歯と歯茎の境目にマウスピースリムを固定し、多少押し付けても動かないようにすると、下顎が自由に動くということが起き、スーパーチョップスの下あごの動きも実現できるようになりました。私はずっと、この固定するということに関しては意識してこなかったのですが、こうすることでかなり自由となり、下唇の粘膜奏法的なところからも解放されました。

 なんと長い間これに悩んてきたか。どうしてもマウスピースのカップに下唇が滑ってはずれてしまう。どうして?どうして?なぜ?とずっと思っていました。

 その理由が、ピボット奏法なんかの知識だ有り、マウスピースの当て方に関して、固定するという感覚がなかったせいだと思います。これで演奏できる人もいるでしょうが、私には無理だった。特に下唇が結構おさまりが悪いので、この方法は向いていなかった。このことを気づかさせられたのは、この動画からでした。

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