2つのアラベスク(仏語:Deux Arabesques)はクロード・ドビュッシー初期のピアノ作品であり、彼の作品の中では最も有名な作品の一つに数えられています。
1888年に作曲され、1891年に改訂されたとされる。ドビュッシーの2手用のピアノ曲としては、ロシア時代の《ボヘミア風舞曲 Danse bohémienne 》(1880年)以来の楽曲です。
2曲で構成される本作品は、いずれもロマン派音楽に典型的な三部形式による小品となっており、和声法にグリーグやフォーレ、マスネの影響が顕著であるものの、抒情性と軽やかに運動するリズムの共存はシューマンの着想に似ていなくもないといわれます。ことに〈第1番〉においては、分散和音の多用と、右手と左手のポリリズムの組み合わせが「アラベスク」たるゆえんでしょう。
アラベスクという意味は、世界史で習ったところの記憶では、建築様式で、アラビア風という感じで覚えていますが、Arabesquesの『sques』に『~風』という語源の意味があったという記憶もあります。建築様式のほうですと、タイルを使った幾何学模様の繰り返しを多用するイメージですが、人物を描くことを禁じるスンニ派のイスラム的世界観に基づいているといわれています。そんな視覚的なイメージがこの曲には感じられます。